@テク野路ジーロード

配信タグシェアリングシステムpickvyを開発、運営開始。最近は、Googleアナリティクスを研究中

Googleトレンド、Youtubeから見える映画「ハードコアヘンリー」のソーシャルメディア戦略

日本で公開未定だけど話題な映画、ハードコアヘンリー(Hardcore Henry)について調べてみました。GoogleトレンドやYoutube統計情報からインターネット上での話題性を見つけていきたいと思います。ソーシャルメディア戦略の一端を垣間見たいと思います。

ハードコアヘンリーは、斬新かつ最先端な「FPS」で全編が進むアクション映画です。
日本で公開されていないのに有名な理由は、思わず唸ってしまうトレーラー(※)が公開されているからでしょう!
※「トレーラー」とは所謂、予告編のことです。海外のゲーム紹介記事ではよく見るキーワードです。

 

本映画の最重要キーワード

それは「FPS」です。First Person Shooterの略です。
日本語では「本人(一人称)視点シューティングゲーム」と訳されるものです。
ハードコアヘンリーは、全編一人称視点でストーリーが進みます。

 

FPSを取り入れた作品として非常に有名なのが「DOOM」というゲームです。
名前だけは聞いたことがあるのではないでしょうか。
主人公の手や腕といった体の一部のみが映し出されていて、顔や全体像は一切見えません。
主人公を操作し、敵を倒していくのですが、キャラクターの目線で進めていきます。


ハードコアヘンリーも、主人公の体の一部しか映し出されません。
しかも都合の良いことに、記憶喪失で声を失ったというキャラクター設定なので、声も聞こえません。
その分、観客は入り込みやすく、臨場感を味わいやすいものになっています。

 

ツイッターでは1st person view や 1st person action movieといった別名で表現されていました。

 

Googleトレンドの結果
全米公開日は、4月8日でした。
Googleトレンドで「hardcore henry」を調査すると以下でした。
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公式予告編動画のyoutube公開日(2月10日)から何回か盛り上がりつつ、4月に入って急速に伸びた感じに見えますね。今は落ち着いている雰囲気です。


ちなみに日本でのトレンドを分析するために今度は、「ハードコアヘンリー」でGoogleトレンドをチェックしてみます。

 

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興味深いのは、トレンドの盛り上がりがアメリカ(上記)よりも早かったところです。
アメリカの場合は公式予告編動画のyoutube公開日(2月10日)の近辺から盛り上がってますが、日本の場合は1月後半から既に盛り上がっていますね。
youtube以外の情報が日本に先行して入り込んでいたのかもしれません。

そして、2月から継続的に盛り上がったり、盛り下がったりしながらも平均的には継続的に話題になっていた雰囲気です。しかし、日本で公開された訳ではないので、4月に若干の盛り上がりがあった程度で収束してます。
 

Youtube統計情報の結果

Googleトレンドでは、映画公開日がトレンドのピークでしたが、
公式予告編動画のyoutubeデータを見てみると、違った印象を受けます。

 

本映画は恐らくですが、”超”印象的な動画で、初期段階から認知顧客を増やす戦略を取っていたのではないかと思います。もしかすると、結構、バズの仕組み(ステマ?)を組み込んでいたのかもしれません。

 

その理由は、下のyoutubeの統計情報を見てみてください。
これは、youtube上の公式予告編動画(本ページ冒頭の予告編)の統計情報から取ってきたものです。

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試聴回数の初速がとんでもないです。垂直方向にロケット発射!という感じですね。2月に予告編を公開した瞬間に試聴時間が激増していて、共有された回数も2月がすごいことになっています。バイラル度合いは非常に高いですね。


共有回数の盛り上がりが、2月中旬→3月中旬→4月中旬と一ヶ月毎に来ていますね。
3月中旬のときは何か施策を打ったのかもしれません。
試聴回数のグラフも同じ傾向で盛り上がっているはずですが、2月の伸びが大きすぎて、グラフを見てもわかりづらい!

 

ハードコアヘンリーの制作スタッフは、インターネットでの拡散を狙い、予告編の製作に心血を注いだのはないでしょうか。結果として、認知が初期の頃にかなり進み、目的達成だったのではないかと思います。

 

しかし、初速がすごかったけれど長続きせず、公開前後の大切な時期ももっと試聴回数が伸びても良かったのにとも思います。(映画も全米オープニングランキング5位となったという情報もありますけど、もっと行けたはず!※個人的な気持ちが入っております笑)

 

他動画との比較

比較対象として、二つ紹介します。

1つ目は、最近日本で公開されたズートピアというディズニー映画です。

 

同じく予告編のyoutube統計情報を以下に掲載します。

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ハードコアヘンリーとは全然違いますね。
youtubeの試聴時間や共有回数は初期の頃はあまり増えず、ジワジワ増加していきながら、4月中旬くらい(=公開日前後)に急増しています。

恐らく、ズートピアは公開前後まであまり人びとに知られていなかったのではないでしょうか。
これも推測ですが、4月中旬頃からテレビなどのマス媒体への露出をすすめたのではないでしょうか。

 

2つ目は、岡崎体育さんの「MUSIC VIDEO」です。

 

統計情報の結果は以下でした。

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岡崎体育さんの動画は、ずっと伸びているんですね!すごいです。
ハードコアヘンリー、ズートピアとも違う、ある意味、理想的な伸びですね!
共有されればされるほど、動画の試聴回数も増えていて、理想的なバズりで、高くて継続的なバイラル効果が発生しています。

 

まとめ

こうしてみると、ソーシャルメディア戦略の結果として、

  • 初速がすごかったハードコアヘンリー、
  • じわじわきて最後に爆発させたズートピア
  • 理想的なバズりでどこまでも伸びていく岡崎体育、

と様々な特徴が、Youtube統計情報から見て取れます。


公式サイトのBUZZコーナー

ハードコアヘンリーはウェブマーケティング戦略として、ウェブサイトやyoutubeはもちろん、ツイッターフェイスブック、インストラグラムでも展開しています。

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おもしろい点が「BUZZ」というコーナーがあることです。

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ソーシャルメディアへの投稿が促されるページで、ハッシュタグの指定(#HARDCOREFAN,#GOPRO)はもちろんですが、
「煽ったコメントを頼む!」とばかりに「PEOPLE ARE LOSING THEIR SH*T OVER HARDCORE HENRY」だったり、
「TELL US WHY YOU'RE EXICTED TO EXPERIENCE」といったメッセージが書かれています。

 

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BUZZページの「Enter Now」をクリックすると、予告編の一部映像と共にソーシャルボタンが表示されます。
この映像を見ながら臨場感のあるコメントが投稿、拡散されるところを狙っているのではないでしょうか。
(但し、実際にツイッターで探しても、過激なコメントは見つけられませんでしたが笑)

 

俳優陣はあのシャールトコプリー!
主人公の相棒としてシャールト・コプリー Sharlto Copleyが出ています。
シャールトコプリーは映画「チャッピー」のあのロボットを演じた俳優です。
私はチャッピーが大好きな映画なので、おもわず、え!あの人が出ているの!とびっくりしました。
ジミーという役柄で、何でも殺されるのですがキャラクターを変えて何度も登場するようです笑。

 

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左:チャッピー、中央:ジミー、右:ご本人、です。

 

シャールトコプリーは、南アフリカ共和国出身の方で、俳優だけではなくて、映画プロデューサーや監督もやられているようです。
Tanit Phoenixさんというモデルの方とご結婚されていて、南アフリカ共和国と、アメリカのロサンジェルスを行ったり来たりしながら生活されているそうです(優雅!)

 

舞台裏の映像

この映画は、撮影の舞台裏も以下で見れます。

 

最後に

この映画は予告編がすごく魅力的な分、どうして日本公開が未定なんだ!と歯痒い気持ちになりますよね。


日本公開が待ち遠しいとの声がちらほら。

私もそう思います。ほんと、早く日本公開して欲しい! 頼む!!